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中国のための「一帯一路」は親中国からの不信感広がり相次いでキャンセル

投稿日:2017年12月14日 更新日:

「札束外交」を展開する中国のあまりの身勝手ぶりに各地でトラブルが頻発し、ここに来て親中国・同盟国も次々と中国を見放し始めているようです。なぜそのような事態に陥ってしまったのでしょうか。
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【中国】同盟国からも見放されはじめた「一帯一路」

パキスタン、ネパール、ミャンマーが、中国が計画していた大規模水力発電所3カ所の事業中止を発表しました。報道によれば、これは総額200億ドルにもなる大型プロジェクトだそうです。

パキスタン:インダス川流域のディアメル・バハシャダム建設に中国が提供を申し出ていた資金140億ドル約1兆5,754億円の受け入れを拒否したとされています。インダス川はチベット高原を水源とし、その90%以上がパキスタン領内を流れています。

パキスタンの穀倉地帯を流れる貴重な水の供給源であり、これを中国に握られることは、国の死活問題にかかわります。さすがにこれを受け入れるわけにはいかなかったということでしょう。

 

ネパール:25億ドル約2,813億円規模の水力発電事業について、合弁相手の中国企業が「重大な財務違反を犯した」として事業取り消しを決定しました。財務違反の内容は明らかではありませんが、考えられるのが汚職問題でしょう。中国では汚職は当たり前ですから、相手国の官僚へのキックバックがバレた可能性があります。

また、当初は低い予算で落札したものの、あとから理由をつけて、工事料金の上積みを要求するということも、よく行われています。それが無理だとわかると、途中で工事を放り出して逃げ出してしまうことも多々あります。2004年頃から中国はフィリピン・マニラ首都圏の鉄道整備への無償資金協力を提案してきましたが、結局、工事の中断が相次ぎ、中国は途中で放り出してしまいました。そのため、その後処理は日本のODAで進められました。

中国が日本からもぎ取ったインドネシアの高速鉄道(ジャカルタ―バンドン間)も、工事が大幅に遅れているため、最近では計画を白紙に戻すべきだという声が再び高まっています。

 

ミャンマー:大型水力発電所には関心がないと表明したといいますが、もともとミャンマーでは中国資本によるミッソンダムの建設が、環境を破壊するという理由で現地住民から反対されてペンディングになっています。

「一帯一路」は、中国によるインフラ建設を沿線国で推し進め、一大経済圏をつくりあげるということが建て前として語られてきました。ところが、実際には中国側の契約不履行や工事中断が相次いでおり、また、仮に完成したとしても、中国側に高い金利を要求され実質的に中国に支配されるというケースが相次いでいます。

いい例がスリランカのハンバントタ港です。スリランカ政府が中国側の甘い提案に乗せられ、高利での資金援助を受け入れた結果、支払いができなくなったスリランカ政府は中国政府に債務軽減を求め、そのかわりに中国側に99年間の運営権と治安警備の権限を譲渡せざるをえなくなりました。

 

中国の「新植民地主義

今回、中国側の提案を拒否したパキスタン、ネパール、ミャンマーは、いずれも長らく親中国であり続けてきた国です。
とくにパキスタンは中国と中パ経済回廊(CPEC)の建設で合意し、中国からパキスタンへ600億ドルの支援が約束されていますが、これに水が差された形です。しかもCPECでも腐敗問題によりパキスタンの負債と工期の遅れが顕在化しているといいます。

結局、中国人がかかわる以上、腐敗や搾取は避けられずそれが現地住民の憎しみを倍増させることにつながるのです。アフリカでも中南米でもそうした反中意識が高まっています。

そして同様の反中感情が、親中国でも現れ始めたといえるでしょう。中国ではパキスタンとの友好関係は「巴鉄」(鉄のように硬い同盟)と呼ばれていますが、最近は、中国人を狙った襲撃事件が多発しています。CPECで大量にパキスタンに入り込む中国人を身代金目当てに誘拐する事件も増えているといいます。

 

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習近平のチャイナドリーム

「一帯一路」とAIIBは習近平のチャイナドリームとしての世界戦略ですが、すべてが西向きであり、アジアからヨーロッパ、アフリカも視野に入っています。もちろん西向きにならざるを得ないのは、東側の太平洋をアメリカと二分したくても、アメリカがそれを許さないからです。

第一列島線を突破するにしても、宿敵の日本と台湾を潰さないかぎり、太平洋には出られません。西向きにしても、宿敵ベトナムやインド、ロシアがほぼ同調してくれないので、習近平の外交は失敗ばかりです。

「一帯一路」がすでに史前から始まっていたことは、考古学的に東西交流史として実証されています。しかし海のシルクロードでも陸のシルクロードでも、その覇権争いを行ってきたのは中国人ではありませんでした。

海のシルクロードでは、古代にはマレー・ポリネシア系の人々、中世からはイスラム商人がその主役でした。陸のシルクロードではたいてい騎馬民族の商隊、ことにペルシア系のソグド人が有名でした。

現在の「一帯一路」構想は、上海機構から発展したものですが、本来であれば中国政府としてはもっと他国を味方に引き入れた「他力本願」でいく予定でした。しかし中国の軍事目的が明らかになるにつれて、インドのみならずEUも警戒しはじめました。

中国の経済と軍事は1990年代に入ってから突出するようになり、やがてパックス・シニカという幻想も生まれました。しかし、経済があっての軍事です。持続的な経済成長には、無限の資源や環境問題のクリアが必要分可決です。中国の高度成長は2007年をピークに、その後、鈍化・下降を続けています

いくらチャイナマネーをちらつかせても、たいてい大風呂敷を広げるだけに終わることが多く、日米が協力しないかぎり、中国のインフラ計劃はたいてい頓挫しています。

「一帯一路」は中国の世界戦略や夢だけではなく、関係諸国の協力があってこそ可能となります。

一国だけの意気込みでできるものではありません。かりに沿線国のインフラがすべて整備されても、その後の人流と物流もかかせません。

これまで中国をはじめとするBRICS諸国は、グローバリスクの歴史産物とされてきました。ことに中国の経済と軍事は、諜報により技術を盗み取ったものが多いのです。もっとも欠如しているはオリジナルの技術とソフトパワーです。

昔日の陸と海のシルクロードでは、シルク、陶磁器、茶が交易のメインでしたが、現在の中国にはダンピング商品かコピー商品しかありません。中国は日本以上に少子高齢化が進んでおり、汚職から大気汚染まで抱えている問題が多すぎます。

ソフトパワーも魅力もなく、あるのはただ野心と下心だけの中国に、親中国、同盟国もようやく気づき、警戒し始めたということなのでしょう。

 

今回のまとめ

  • 親中国・同盟国が、中国が資金援助するなどして進めるインフラ整備を次々拒否
  • これにより、中国が推し進める「一帯一路」実現に黄信号が
  • 親中国・同盟国が習近平政権には「野心と下心」しかないことにようやく気づき、警戒し始めた可能性が大
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