キーワードはテクノロジー。「国家の転覆」は誰にも止められない

公開日: : お金

2017年もあと3週間ほど。今年は去年までとはまったく異なる「3つの大きな変化」が起こりました。1つずつ解説しながら、その根底にある共通項を探ります。


去年までとまったく異なる「3つの変化」

早いもので2017年もあと3週間程で終わります。そして、今年は去年までとはまったく異なる大きな変化があった年になりました。

気になった変化は、次の3点です。

  1. IT嫌いのバフェットがハイテク企業に興味を示し始めた
  2. AI(人工知能)に対する期待が高まってきた
  3. 仮想通貨がフィアットマネーに対して大きく上昇した

1つずつ解説していきます。

 

変化1:IT嫌いのバフェットがハイテク企業に興味を示し始めた

2017年5月のバークシャーの株主総会、そしてその後のインタビューにおいて、バフェットとマンガーは、アマゾングーグルの成功を認めた上で、今まで投資してこなかったことを悔やんでいました。

そして、バフェットはIBMへの投資を失敗だと素直に認めて、資金をアップルに振り向ける作戦に打って出ました。

今までも当メルマガでお伝えしてきたように、アップルは「教科書的バフェット銘柄」です。そして、アップルは、今後の第4次産業革命(AI革命)で大きな役割りを果たす可能性が高い企業でもあります。

おそらくバフェットは、今後もIT分野への投資について手を緩めるつもりはまったくないと見て、間違いないでしょう。

元々、バークシャーはアップル株を120ドル以下で保有していました。アップルの株価はほとんど大きな調整がなく、どんどん上昇しています。2017年9月には150ドル近辺まで上がった。それでも、バフェットはアップル株を追加で購入しています。つまり、バークシャーにとって、アップルへの投資は超・重要だということです。そして、未だにアップル株の上昇は止まらず、現在は170ドル近辺までウロウロしています。

バフェットの表面的な行動だけを見ていると、「今まであれだけハイテク分野にスルーしてきたのになぜ?」と感じられる方もいるかもしれません。

かつてバフェットは、テクノロジーについて次のように話していました。

自分の頭では理解できないようなテクノロジーが、投資の決断に関わってくるような企業には手を出さない。

半導体や集積回路について私は、名前も発音できないような昆虫の交尾についてと同じくらい、何も知らない。

ウォーレン・バフェット

今のバフェットと、かつてのバフェットは異なります。しかしながら、バフェットが変化している以上に、経済の実態はもっと大きく変化していると捉えるべきでしょう。

今年はバフェット流投資の根幹に関わる、重大な変化が巻き起こった1年だったと私は捉えています。

 

変化2:AI(人工知能)に対する期待が高まってきた

2番目の変化は「AIに対する期待感が高まってきた」という点です。これは1番目の「バフェットがハイテク企業に興味を示し始めた」こととも、もちろん関係しています。

AIは世界を変えようとしています。バフェットが投資してこなかったアマゾングーグルは、特にこの分野で先行している2社です。

<アマゾンの変化>

アマゾンは全自動コンビニ「Amazon Go」を開発しています。客が店内に入って商品を手に取り、そのまま店を出ていく。Amazon Goの店内にはレジ係の店員もいなければ、レジそのものがありません。ひと昔前なら考えられない光景がそこには広がっています。

一部、報道によると、運営上の問題を解決し、もうすぐ一般向けに営業を開始できるところまで来ているそうです。おそらく今年、買収した食料品スーパー「ホールフーズ」のチェーンに、この「Amazon Go」を組み込んでいく作戦なのでしょう。

<グーグルの変化>

そして、グーグルにも大きな大きな動きがありました。グーグルの最新AI「AlphaZero」は囲碁、将棋、チェスを自己学習して、人間の能力を遥かに上回って、さらに他のAIにも打ち勝って、世界最強AIになっています。

この3つのゲームで世界最強に上り詰めるまでにかかった自己学習の時間は、なんとたったの24時間。コンピューターの進化はとても早くて驚かされます。

特に囲碁については、コンピューターが人間に勝つまでにあと10年ぐらいかかると言われていたのに、大幅に前倒しすることに成功したのです。

AI革命は、2020年代の中盤頃から本格的に立ち上がってくると見られていますが、実際にはもう少し前倒しになる可能性もあります。

そして、このAI革命で最も社会的・経済的にインパクトの大きい分野は「自動運転車の普及」だと言われています。グーグルはこの分野の研究でも先行しています。

AIによる社会変革はほぼ確定した事項で、今後、長期に渡って引き起こされます。AI革命は、短期的な株価の下落、金融危機、政府の財政破綻などのイベントとは無関係に、必ず起こると確定している未来です。

 

変化3:仮想通貨がフィアットマネーに対して大きく上昇した

最後の3番目は「仮想通貨の台頭」です。これも2017年に巻き起こった重要な変化と言えます。

例えば、ビットコインの値動きが今度、どうなるかは誰にもわかりません。暴落するかもしれませんし、暴騰するかもしれません。しかしながら、ビットコインに限らず、仮想通貨は世の中を変えようとしていることはほぼ確定的だと思います。

仮想通貨の価値が上昇しているということは、世界各国の中央銀行が発行しているフィアットマネー(法定通貨:円、ドル、ポンド、ユーロ、人民元等)の価値が下落していると捉えなければいけません。

これは何も仮想通貨だけの話ではありません。株式の価値が上がっても、フィアットマネーの価値は下がります。

シーゲル博士の過去200年の研究によれば、フィアットマネーは平均して年2%ずつ価値が下落していることが明らかになりました。フィアットマネーは、長期的には頼りない存在なのです。

そして、密かに私は、仮想通貨は長期的にはもっと違った変化を巻き起こすと推測しています。

この3番目の話は1番目と2番目とも関係しています。50年、100年という超・長期的には、国家の力が相対的にどんどん小さくなっていき、グローバル企業が国家を上回る存在になっていくでしょう。

既に世界各国の歳入と企業の収入ベスト100の中に、70社もグローバル企業が入っている状況になっています。

特に、近年、そのグローバル企業の中で勢い良く勢力を拡大してきているのが、ハイテク企業となっています。

そして、ハイテク企業の力が増してくると、各国の中央銀行が発行しているフィアットマネーよりも、人々はハイテク企業が発行する紙幣を信用するようになるかもしれません。将来的に「Amazonコイン」「Googleコイン」「Appleコイン」などが流通している可能性はありえると思います。

世界時価総額ランキングは、上から順番にアップル、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、フェイスブックとなっていて、なんと上位5位がすべてハイテク企業です。さらに上位10位を確認しても、ほとんどハイテク企業が占領している状態です。

<世界時価総額ランキング2017年11月末(最新)>

出典:世界時価総額ランキング(Think 180 around)

出典:世界時価総額ランキング(Think 180 around)

これらのハイテク企業は、すべて事業実態が伴っています。売上高、純利益、営業CFの増加率とある程度連動しながら、株価が上昇してきています。

すると、これらのハイテク企業が、国家よりも大きな存在になっていく可能性が高い。なぜなら、国家は年率20%、30%以上で成長するのは無理だからです。年間2%の成長でも実現できていない先進国が多い状況なので、長期的には、国家のパワーが相対的にかなり小さなものになるのは目に見えています。

ビットコインという単一の仮想通貨だけを眺めていても、なかなか真実は見えません。しかしながら、「国家の力が相対的に低くなってきている」という視点に立てば、仮想通貨が人気化する理由も理解できます(ただし、今の各種仮想通貨の価格が妥当かどうかはわかりません)。

インターネットは通貨の価値を変えようとしている」これはジム・ロジャーズの言葉です。

ビットコインがバブルかどうかという議論はさておき、通貨の価値が変わろうとしているという現象そのものは、真面目に受け止めなければいけません。

今、私たちは、国家の信用力が低下するという大きな流れの中で生活しています。

 

まとめ:テクノロジーが国家を凌駕する時代がやってくる

最後にまとめます。

2017年に巻き起こった次の3つの大きな変化は一見、別々の現象に見えます。

  1. IT嫌いのバフェットがハイテク企業に興味を示し始めた
  2. AI(人工知能)に対する期待が高まってきた
  3. 仮想通貨がフィアットマネーに対して大きく上昇した

しかしながら、根本はすべて同じです。つまり、「テクノロジーの信用力が上昇する一方で、国家の信用力が下降している」ということです。

現在の先進国は、どの国家も借金にまみれています。GDPが伸びるペースよりも債務が積み上がっていくペースの方が早いため、どの国も債務残高が積み上がってきています。

<債務残高の国際比較(対GDP比)>

出典:財務省(OECD "Economic Outlook 98"2015年11月)

出典:財務省(OECD “Economic Outlook 98″2015年11月)

ハイテク企業(グローバル企業)は、節税スキームを使って、国家に税金をほとんど納めていません。そのため、ハイテク企業の事業が伸びても、国家の収入は増えずに、債務残高の膨張になかなか歯止めをかけられていません。

世界各国の中央銀行も、2008年のリーマンショック以降、異次元緩和を実施して、フィアットマネーを増発しました。その増発したフィアットマネーは、ハイテク企業の株や仮想通貨に向かっています。

ハイテク企業にしろ、仮想通貨にしろ、彼らは「国籍を持たない住人」です。テクノロジーには国籍がありません。国家は、彼らにうまく税金を課すことができていないのです。

現在、米国のトランプ政権はこの流れを変えようとしていますが、結局、タックスヘイブンに対抗するために大幅な減税に踏み切るしかない状況です。

20世紀の経済環境とは根本的に変わってきています。そして、インターネットは世界が国家を飛び越えて、世界を1つに結びつけようとしています。

今後はその傾向がますます強くなってきています。この流れには誰も逆らえません。

2017年はとても注目すべき変化の多い年になりました。来年以降、どんな年になるのか。不安も期待も大きい!いずれにしても面白い変化が巻き起こりそうです。

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