GAFAだけ例外?! 日本に本部がないネットビジネスは課税されないの?

Sponsored Link
更新日

全世界をその市場とし莫大な収益を上げ続けるGAFAですが、グーグルが東京国税局から申告漏れを指摘されました。ちょっと気になったのちょと調べてみました。

Sponsored Link

プラットフォーマーに対する課税

グーグルやフェイスブックといったサービスの基盤を提供する「プラットフォーマー」に対する課税が、今後大きな国際問題になっていることは、先日のサンデーモーニングでもやってました。

GAFAとは

最近「GAFA」という言葉をよくに耳にします。

GAFAとは、 グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェースブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の4社のことで、世界時価総額ランキングの上位を占めています。

GAFAの課税漏れ

このGAFAの一つ、グーグルについて興味深いニュースが最近、報じられました。

グーグル、35億円申告漏れ 日本法人 海外へ利益移転

米グーグルの日本法人「グーグル合同会社」(東京都港区)が東京国税局の税務調査を受け、2015年12月期に約35億円の申告漏れを指摘されていたことが15日、関係者への取材で分かった。

日本法人は国内で広告事業をしていたが、広告料はシンガポール法人へ支払われ、そこから日本法人が報酬を受け取る仕組みだった。しかし、同国税局は、広告料と報酬額が見合っていなかったとして、日本での所得を抑え、税率の低いシンガポール法人に移転したと判断したもようだ。

関係者によると、追徴税額は過少申告加算税を含め約10億円。

日本法人は修正申告を済ませ、16年12月期分も自主的に法人所得約60億円を上乗せして申告したという。

米グーグルなど「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業を巡っては、利益を上げる国に活動拠点がほとんどなく、法人税率の低い国に利益を移して節税する動きが「課税逃れ」として問題視されている。

15日午前、日本法人に対しメールで取材を申し入れたが、返信はなかった。登記簿によると、日本法人は01年に株式会社として設立。16年に決算を公告する必要のない合同会社に組織変更した。

関係者によると、日本法人は、国内で広告の営業やコンサルタントをしているが、広告主や広告会社から受け取った料金はシンガポール法人に支払われていた。

その上で、日本法人は、シンガポール法人に対する業務支援として、経費に8%を上乗せした報酬を受け取っていた。

しかし、東京国税局は、日本法人への報酬が広告料に連動していないと指摘。一定の利率を上乗せする仕組みにより、報酬が低く抑えられ、国内で計上すべき所得を実質的に海外に移転したと判断したとみられる。

2019年1月15日 東京新聞 夕刊
Sponsored Link

多国籍企業の課税漏れ

この問題は、実はけっこう難しい要素を秘めています。

グーグルなどの多国籍企業の課税漏れ自体は、それほど珍しものではありませんし、今までにもニュース等で取り上げられる機会もありました。

一例として言えば、税金が日本より安いシンガポールに本部を置き、そこに世界中の子会社の利益を集中させて、グループ全体の節税を図るという流れです。

LIXIL グループMBOでシンガポールへ?!

最近では、 LIXILグループ創業一族の潮田洋一郎会長が、MBO(経営陣が参加する買収)で日本の株式市場から退出し、さらにシンガポールに本社も移そうとしていることがニュースで話題になっていました。

東京国税局は課税漏れの指摘

もちろん、日本の税務当局としては、グーグルの日本法人の利益を、シンガポールの本部に不当に吸い上げられることを見過ごすことは、同じような仕事をしている日本の法人に対して不公平になります。

日本の税法では、国際企業の各国の支店間の取引について価格に不自然な高低があれば是正できる、ということになっています。

この税法に基づいて、東京国税局は課税漏れの指摘をしたことになります。

確信の大きなポイントとは?

実は、この問題には、それ以外に大きなポイントがあります。

グーグルやフェイスブックなどは、モノやサービス自体を売るのではなく、サービスの基盤を提供する業種であり、「プラットフォーマー」と言われいる20年前では夢にも思わなかったビジネスモデルです。

そして、このGAFAのうちでも、特にグーグルとフェイスブックは、自分自身でモノを売るのではなく、データを駆使し、広告事業販売事業の手助けをするという業務をメインに行っています。

グーグルの主な収入源は広告

たとえば、グーグルの主な収入源は広告ですが、従来の広告と違うのは、自社の作った検索ページを通じて、検索ページを利用したユーザーの指向に合わせて広告を掲載します。

これにより、広告主は、効果的に広告を掲載出来ます。これは、フェイスブックも同様です。フェイスブックの利用者の指向に合わせた効果的な広告を掲載することが出来ます。

こういうプラットフォーマーという事業者の場合は、税務当局にとってはさらに難しい問題があるそうです。

なぜならば、オンラインビジネスなので、日本に子会社や事業所を置かずに営業活動が出来るからです。

たとえば、

アメリカにしか営業所を置かずに、各国の言語ができる人材をアメリカの営業所におき、世界中の顧客の相手をするやり方です。顧客の方も、わざわざ事務所に出向いて広告の依頼をするのではなく、メールやチャット、そしてテレビ電話などでビジネスを済ませることができるので、労力が省けます。

ネットビジネスは日本で課税されない?!

ところが、日本の税法では、外国の会社に対して、日本の税金を課す条件として、「日本に子会社や事業所などが設置されていること」というのがあるのです。

つまり、日本に子会社も事業所もなく、ただネット上だけで商売しているのであれば、日本の税金は課せられないのです。

グーグルの場合は

日本に法人があるから日本の税法の適用ができるものの、日本に法人や事務所を持たずに、ネット上だけでビジネスをしていれば、原則として日本の税法の適用は受けません。

つまり、日本の会社が、払った広告料などの収入に関して、グーグルの場合、日本の税金は課せられないようです。

海外のインターネット会社

海外のインターネット会社が、日本向けのプラットホームを提供しているようなケースもたくさんあります。

そういう会社に、日本人が支払うサービス料、広告料などには、原則として日本の税金はかけられないのです。

「国内に子会社や事務所がなければ課税できない」というのは、日本だけじゃなく、多くの国の間で常識的な税制となっています。

だから、日本以外の他の国でも、この問題は生じているのです。

アメリカの後ろ盾があるGAFA

GAFAは、いずれもアメリカの企業であり、アメリカという後ろ盾があります。特に自国の利益を優先する保護主義的なトランプ大統領政権では尚更です。

どこの国でもそうですが、自分の国で生まれた会社を自国で囲い込み、出来ればたくさん税金を払って欲しいと思っています。

そして、今までに世界中にある子会社であまり税金を払う経営方針ではなかったという経緯もあります。

アマゾン本社が、「日本に事業所は置いていない」と主張して、税金を払っていなかったことは周知の事実として、今までに何度もニュースで取り上げられています。

日米で定義に差がある

現在の課税制度では、海外企業が日本での経済活動で利益を上げても、工場などの「恒久的施設」( Permanent Establishment )を持っていない限り本社がある国で法人税を納めるのが共通認識として考えてら来ました。

例えば日本国内に物流拠点を持つ海外の通販会社の場合、倉庫はPEではないため法人税の課税対象にならない。

PEの定義が50年ぶりに見直し

今月1日、このPEの定義が半世紀ぶりに見直されることになりました。

利益につながる価値が創造されたと認定できる倉庫もPEとみなして課税対象とする改正法人税法が施行されました。

日米租税条約の壁

ただし、日本の国内法に優先する日米租税条約では従来のPEの定義を採用しており、米国企業の倉庫には直ちに適用されない可能性があるようです。

活動実態が分からないGAFA

GAFAの活動実態は、フェイスブックを除く3社が株式会社ではなく合同会社のため、財務状況が分かりづらいようです。

合同会社のメリットとはなんでしょうか?

株式会社は、株式を公開できる代わりに、収支報告、株式譲渡制、会社法や金融商品取引法などによる法規制が多くありますが、合同会社(LLC)は法律の規制がほとんどなく、社内の基本的規則である「定款」によって、社員同士で話し合いながら納得のいくルールを自由に設計できます。任期の上限もありません。

ゆえに、株式を公開して資金調達を考えていない会社は合同会社の方が秘匿性が担保されて都合がいいようです。

新たな「武器」も

こうした制約の中でも、国税当局は適正課税に向けた努力を続けているようです。その中一つとして「CbCR」(国別報告事項)の自動的情報交換制度があります。

経済協力開発機構(OECD)の勧告に基づき多国籍企業グループの国・地域別の収入や納税額などを外国の税務当局と情報交換できる制度です。

Sponsored Link

世界連携チーム

もちろん、GAFAやプラットフォーマーたちのこういう姿勢に対して、世界各国も黙っているわけではなく、ヨーロッパ諸国と日本などが連携して対処しようという動きもあります。

今後、こういうプラットフォーマーと呼ばれる企業に対しての課税は、大きな国際問題となって行くようです。

まとめ

そもそもシンガポールが日本より魅力的だから起こっている問題のような気がします。LIXILグループがMBOでシンガポールへ移転するような背景には、日本で生まれた企業が日本の税制に嫌気がさしているという実態を把握しないと、手遅れになってしまうのではないでしょうか。

ジムロジャースが、その著書(お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する)で「自分が日本人で今10才なら日本から今すぐに移住する」旨、言っているように、日本はどんどん住みづらくなっている現実を直視しないとだめなのではないでしょうか。

「日本に本部がなければ課税されない」という一般的になった認識は、ネットビジネスを行っている会社のキャピタルフライ、海外移転へ拍車がかかりそうですね。

Sponsored Link