
インドネシアで3月2日午後7時49分、日本時間の午後9時49分に、マグニチュード7.8の地震がありました。インドネシアの国家災害対策庁によると、これまでのところ被害情報は入っていないようですが、なぜこの地域には地震が多発するのか調べてみました。
インドネシアの国家災害対策庁が西スマトラ、北スマトラそして、アチェに津波のおそれがあるとして警戒を呼びかけていると伝えています。
目次
インドネシア地震なぜ多い? スマトラ島沖でM7.8
ハワイにある太平洋津波警報センターは「われわれの担当範囲ではないが、地震の規模からすると、比較的小さいかもしれないが、インドネシアの一部の地域では津波が来る可能性がある」と話しています。
オーストラリアの気象当局は、地震を受けて、西部に津波への注意を呼びかけていましたが、津波のおそれがなくなったとして注意の呼びかけを解除しました。
一方、インドネシアに近いクリスマス諸島とココス諸島には、津波に警戒し、海岸付近に近づかないよう、引き続き呼びかけています。
日本への津波影響なし

アメリカの地質調査所から気象庁に入った連絡によると、この地震による日本への津波の影響はありません。
気象庁によりますと今回の地震は大きな津波が比較的起きにくいとされる。
「横ずれ」といわれるタイプと推定されるということです。
「横ずれ」地震とは?
「横ずれ」の地震は、岩盤が上下にずれ動くタイプの地震よりも大きな津波が起きにくい
とされています。
4年前の4月には今回の震源地より北側のスマトラ島西方沖でマグニチュード8.6の巨大地震が発生し、この時も「横ずれ」タイプの地震で、スマトラ島北部で観測されました。
津波は高さ1メートル余りでした。
現地メディア 住民が高台に避難
インドネシアの地元メディアによりますと、震源から近い、西スマトラ州の州都パダンでは、地震による被害は報告されていないものの、津波に備え、住民が高台など安全な場所に避難を始めているということです。
また、インドネシアの首都ジャカルタにある、NHKのジャカルタ支局では揺れは感じられなかったそうです。
スマトラ島中部のホテル関係者
「1分以上揺れた」スマトラ島中部のパダンにあるホテルの従業員の男性は、
「揺れは感じた。はっきりとはわからないが、1分以上揺れていたと思う。ただ、皿が落ちたり誰かがけがをするような被害はない」
スマトラ島日本総領事館
日本人の被害情報なしスマトラ島にある日本総領事館によりますと、これまでのところ、今回の地震で日本人が被害にあったという情報は入っていない。
震源に近い中部パダンには、日本人が15人程いるということで、総領事館では、直接、電話で連絡をとって、被害がないかなど確認を進めている。
スマトラ島周辺では過去にも多くの地震
- 2004年12月には、スマトラ島北部のアチェ特別州の西側、およそ200キロの沖合で、マグニチュード9.1の地震が起き、地震とその後の津波などで20万人を超える人たちが犠牲になっています。
- 2007年9月にも、スマトラ島南部のブンクルの沖合およそ130キロの地点でマグニチュード7から8の地震が相次ぎ、インドネシアで最大1メートル20センチの津波を観測したほか、アラビア半島でも70センチの津波を観測しました。
- 2008年2月には、スマトラ島の中心都市、パダンから南南西およそ160キロの沖合を震源とするマグニチュード7.3の地震が起きました。
- 2012年4月には、スマトラ島沖のインド洋でマグニチュード8.6の地震が起き、スマトラ島沿岸部の一部では高さ1メートルを超える津波が観測されました。
- 2018年12月には、インドネシア・ジャワ島西部のスンダ海峡で発生した大津波が、海岸沿いの行楽地を突如、襲った。
インドネシアで地震が多発する理由は?

インドネシアのこの付近は、日本と同じように、プレート境界に隣接し、地震の多い地域です。
プレートに隣接しているとは言え、1990年代に比べると、2000年代は明らかに大きな地震が増えています。
推測の域を超えませんが、2004年12月にインド洋大津波を引き起こしたスマトラ島沖地震と、それに続いて起こった2005年と2007年の海溝型巨大地震が、周辺地域で地震活動を活発にしていたと思われます。
まとめ
日本でも、南海トラフの海溝型巨大地震が起こると、西日本の内陸部で大きな地震が増える傾向があります。
スンダ海溝と南海トラフは似た面も多いので、スマトラ島周辺で起きていることは、近い将来、日本でも同じようなことが起こる可能性があります。